粘震システム・耐震性
NIED|防災科学技術研究所 実物大・振動台実験
実験で繰返しの地震への強さを実証
阪神・淡路大震災クラスの大きな揺れと、その余震を想定して実物大実験を、防災科学技術研究所にて行いました。

実物大の建物を使った、大規模な実験。


計測点を決めて、その揺れ幅を計測します。

同じ間取りで耐震等級3相当の建物も準備し、同様の実験を行いました。
損傷具合の比較
それぞれの建物の、実験後の損傷具合です。
「耐震等級3・実験5回目」の方は、内装のみの損傷で、構造体には特に変化がないように見えますが、「耐震等級3・実験10回目」には、内装・構造体ともに大きな損傷が発生しています。
被災の回数が増すごとに、急激に建物の耐震強度が弱まる事がお解りいただけると思います。
耐震等級3の建物 実験5回目
内装のみの損傷で、構造体には特に変化がないように見えます。



耐震等級3の建物 実験10回目
内装・構造体ともに、大きく損壊しています。



粘震住宅 実験10回目
窓の四隅に多少の損傷が見られるものの、構造体への損傷は見られません。



地震にまつわる色々
地震にまつわるモノ・コトについてまとめてみました。
いつ、どこで起こってもおかしくない大地震
災害の中でも、いつ、どこで、どれくらいの規模で起きるかの予測が難しいのが地震です。
平成28年だけでも、震度5弱を超える被害地震の発生地域が、九州から北海道までの日本全土にわたっています。
平成28年熊本地震では、6日間で震度5弱以上の地震が20回発生
平成28年の熊本地震では、4月14日から19日までの6日間で、震度5弱以上の地震が20回も発生しました。内訳は次の通りです。
- 震度5弱 9回
- 震度5強 4回
- 震度6弱 3回
- 震度6強 2回
- 震度7 2回
国が定める耐震基準 ①建築基準法
こちらは、国土交通省の「建築基準法の耐震基準の概要」の説明図です。専門用語が多くて解りにくいのですが、まとめると次のような内容になります。
- 「数十年に数度」の中規模地震(震度5強程度)では、建物にほどんど損傷がない事を想定。
- 「数百年に一度」の大規模地震(震度6強~7程度)では、建物の即時倒壊まで至らないが、相応の損傷が発生する事を想定。
国が定める耐震基準 ②住宅性能表示制度
「住宅性能表示制度」とは、住宅品質に対する共通の判断基準(モノサシ)を定め、その品質を比較できるようにしたものです。
耐震性能については「構造の安定」として定められています。
建築基準法で想定している耐震強度を「耐震等級1」とし、等級が上がるほど耐震性が高くなります。
国の基準は最低限。過信は禁物!!
国の基準をまとめると、こんなことが見えてきます。
- 大規模地震は数百年に一度、中規模地震は数十年に一度の想定。 → 短期間に大規模、中規模の地震が繰り返される想定ではない。
- 大規模地震の場合、建物に相応の被害が発生する事は想定内。
- 基準があるのは「耐震」に対してのみ。